精神の安定を得るために売買する

2008/12/20() 午後 2:07

 

 精神の安定がなぜ大切なのか。

 売買における最も大きなリスクが己の不安感の増大だからである。

 

 『相場師の最大の敵は自分である』という意味は己の精神不安の増大が、利益を上げることを妨げるということである。

 

 精神不安を招くような危険な売買、すなわち、儲けたいという欲のために、

・維持できない枚数の玉(資金的に無理な建玉)をあわてて建てる

 ・楽観的な見込みで高値で大きな団子の玉をつくったあと逆行する

 

 こんなことをすると、突然、不安感に襲われ寝られなくなり、不眠により冷静な判断力を奪われて誤った判断をする「愚かな自分」が最大の敵となって立ちはだかり、

 最終的に玉の維持ができなくなり、最も不利なときに総投げ、総踏みになって大損する。

 

ということは、“早く、沢山、儲けたい”という「愚かな自分」の欲に打ち勝ち、精神の安定を得られるように売買しなければならない。

 

  それには、まず古来からの定石である2,3,5といった増玉法に従うことである。

 次第に慣れてきたら、定石を修正して自分にあった玉の増加の速度を発見し、

 自分なりの型、基準を決定する。

そして、いかなる相場に対しても自分の型をもって挑むようにする。

 明日の相場が どのように展開するか判らないからである。

 

  自分の型を基準にした建玉法は、悪手を打ったり、危険な玉を持つことを防ぎ、損失を最小限に抑える危機管理であると同時に、自分を不安に陥れることがなく精神の安定を得ることができる。

この精神の安定がないと相場で利益を上げ続けることはできない。

 

したがって、「精神の安定を得るにはどうしたらよいか」ということを主眼に相場を張るべきである。

 

  ○大きすぎる建玉をして相場が逆行し、一時的にでも窮地に陥って冷静さを失ってしまうと、その後、相場が見込みどおりの動きになっても、一時的に落ち込んだ心理から立ち直ることができずに、玉の維持ができない、変な玉の操作をするといった考えられないヘマを重ねて、本来、利益になるはずにのに、玉を手仕舞ったら損になることがある。

 

  これは、相場の流れよりも自分の玉の損益に心を奪われたからで、そうならないように心理的に負ける大きな建玉をせず、心に余裕を持てる建玉をすれば、「我が世の春」となったのである。

 (小豆相場の基本94/1p79)

 

 生き残るために

 ・時期を待つこと

       5枚を限度にした分割売買をする

(「ここぞ」とドカンと大きく仕掛けない5テール・トレード的な売買をする)

・大きな失敗をしたら、全部新しく、再出発。全てを新しくして

 基本からやり直す。 「基礎固めの練習売買をしていれば損しない」

・保合の中での分割買いは陰線引けの翌日

 

 「時期を待て。待てるものが残るのだ」(小豆の立川氏)

○相場のプロや成功者は心理的に重荷になるほど大量に売買することはない。(財産作りの株式投資p257)

 

 精神の安定のために

 ・自分の増玉の型を決めて売買する

 ・勝ぐせをつける(小さな成功を積み重ねることで自信をつける)

・専門銘柄を決め、僥倖を当てにすることなく、

売買技術を向上させることで利益をものにしていく

 ・安定した利益を上げ続け、売買で生活ができるという確信を持つ

 ことが必要。

 

 *ファイブ・テール・トレード

 ファイブ・テール・トレード(Five teal trade)とは香港のテール金取引において行なわれていた、5単位を最高限度として売買する小口の職業的投機の方法。

 

○精神の安定 (20.12.6)

  相場は不安と期待が突出しやすいものであり、状況が良いときは必要以上に気持ちが高揚し、状況が悪いときは必要以上に落胆したり不安になる。投資家はそういう生き物でもある。

 

  投資家は相場の根底にある不安と期待によって、儲けようと無理をして悪循環に陥ることが圧倒的に多い。建玉を持つと、値動きによって自分の金が大きく減少する恐怖感は、想像以上に心理を圧迫する。

 

 買ったが上がらない。持っているうちに下がってきた。資金の余裕はない。

そういう状況になると、もはや事態を冷静に判断することはできない。

 

  「知らないと苦しい」と感じ、目先の将来を知ろうとして、普段は気にしない情報に敏感になり、インターネットでいろいろな情報を収集し、自分で自分の心を惑わせる余計な情報を作り出したあげく、ホッとしたり不安になったりを繰り返し、売買を始めるときに考えていた策戦などは、すっかり忘れてしまう最悪の状態になる。

 余分な感情の起伏を作らないようにコントロールするのも相場技術の一つである。

 

  心理的に苦しくなる事態を防ぐには、時期を待ち、資金に余裕を持った分割売買をし、日柄によって売買に区切りをつけることで、窮地に陥らないように進んでいくしかない。

 時間の経過・日柄という大切な要素を重視して安定的な売買を心がけるのだ。

 儲かっても休み、損しても休みとにかく感情の狂いを修正し、心を落ち着けて、次のチャンスに備えるのである。

 

そうして精神状態と利益が安定すれば、長期のパフォーマンスは飛躍的に向上する。精神の安定は利益の安定に直結するのである。