相場の現実

2009/3/6() 午前 7:09

 

うねり取りを実行する前には、

 上げ相場のときには底で買った最安値の玉を持ち、

 下げ相場のときには天井で売った最高値の玉を持ち、

うねりを泳いでいくのが上手であると思う。

 

しかし、現実にはそんなことはできない。

 例えば1000〜1500円の動きの銘柄のうねり幅は500円。

これを500円取ることは無理。

まして、資金を目いっぱい動かして500円取ることは絶対不可能。

 

 統計によれば、天井から10%以内で売れる確率は30分の1である。

 1500円の10%下は1350円

 1000円の10%上は1100円 

これが現実的に狙える建値となる。

すると、取ることができる うねり幅は 250円である。

 

そして、うねり取りは平均値を考えながら分割で玉を建てるから、

±10%を全資金で建てられるわけではないし、

 資金の限度いっぱい回転するとは限らないのである。

 

 仮に”片玉二分の一”の全資金が理想的な回転をしたとしても

値幅しては250円の半分の125円にすぎない。

 

したがって、理想的な成功をしても資金量を考えると

500円幅のうち125円取るのが限度。

うねり取りにおいてはうねり幅の4分の1取れたら大成功であり、

これが相場の現実なのである。(ツナギ売買の実践p102)

 

 

☆ 『ひとつの銘柄を続けて売買していけば、その銘柄に慣れて慣れて慣れきっていく。だからこそ効率よく利益をあげ続けていけるのである。

 

  商品相場なら小豆相場専門というように、自分の専門をもって、そればかり何年も追って生活費を稼ぐのがプロの売買法である。

 江戸時代の米相場、明治からの戦前までの新東や戦後の特定銘柄がそうしたプロの売買、生活費を稼ぐ銘柄として定着してきた。

 

  「慣れて慣れて慣れきって」というのは、売買が上手になっていくことである。

つまり、値動きのうねりに乗ってリズムを感じ、分割売買で平均値を有利にし、利益を確保して区切りをつける、売買技法の上達を意味している。

ファンダメンタルズは無視しないが こだわらず、テクニカルズでも理論より値動きの現実面を重視する。』(研究部会報2005.5 p77)

 

○サヤ取りの場合

 

サヤ取りにおいても、サヤの極大極小のときに すぐにドテンできるものではなく、

 仕掛けも手仕舞いも分割するから、サヤの変動幅がまるまる利益になるものではない。(ツナギ売買の実践p276)

 

☆相場専業になった人の試行錯誤

 

 googleで林輝太郎先生を検索すると、色々な人のサイトやブログがでてくる。

それほど多くはないものの林輝太郎先生の本を読んで相場専業になった人が存在する。

 

 共通するのは

・林輝太郎先生の本に触発されて売買をやり直したこと。

・皆、一様に林輝太郎先生と著作に感謝している。

 

 具体的な手法までは書いていないので確かなことは解らないが、

そうした人達は、『買い』でプロになったのではなく、カラ売り、サヤ取り、ツナギ売買など利殖的売買を自分の専門にして、それを自分の収入源にしているらしい。

 

ただ、私も含めて林輝太郎先生の教えを忠実に守っているわけではなく、林輝太郎先生に言ったら叱られるようなやり方で、自分なりの売買を実行している人が多い。

 

 相場専業になった人の試行錯誤の典型的な例は

 

1.プロになろうと決心する。

 最初は先生の本の教えに従って売買する。(人によっては人形町の林輝太郎投資研究所を訪問し先生のアドバイスを受ける)

 

 2.強い決意を持って、自分が志したやり方(例えば小豆の両外しサヤ取り、ローリングのような利殖的売買)を何年か続ける。

 

 3.しかし、あまり儲からない。年間通算で損になることもある。

 「こんなことでは売買で食っていけない」という強烈な迷いが出る。

 自分が志したやり方を中断する。

 

 4.試行錯誤を繰り返しているうちに、ひょんなことから「こうすれば取れる」という方法を発見する。

その方法を手放さずに、自分の売買に練り上げる。

 自分なりに編み出した方法で、なんとか売買で食っていけるようになる。

 期間としてはプロになろうと決心してから5年から7年ぐらいの年月を要している。

 

という感じである。試行錯誤中に大損して挫折してしまうことも多いから、自立できた人はとても幸運だったと思う。

 

そうした自立はまさに、守・破・離 であって、

 主の教えを守り、それを破り、さらにそこからも離れて自分の流儀をつくる。

 稽古を重ねているうちに自分流の工夫が出てきて、「これだ!」と思えるものを掴んだのである。

 

こういうことをインターネット上で書いている世代は昭和25〜35年生まれの人達ではないか。

 猫次郎さん、バカラさんといった相場戦略研究所の掲示板で知り合ったプロたちはみな林輝太郎先生の読者で昭和30年前後生まれの人達が多かった。

ただ、インターネット世代より上の年代の人たち(戦前生まれ)の動向は不明である。

また、若い人たちで林輝太郎先生の本で試行錯誤を繰り返しているケースは少ないように感じる。(21.4.12)