法人で相場を張る優位性

2009/4/14() 午前 1:11

 

 投資会社を設立して6年目に入った。

ようやく慣れて会社組織で相場を張っていることを意識しなくなった。

 

  投資会社を設立したのは、納税で資金を失うのを避けるためである。

 個人投資家は税制上、極めて不利な立場に置かれている。

だから、個人投資家から相場を事業として行う法人投資家に移行することで税制上の立場を強化し、相場という特殊な世界で生き残っていくための砦として投資会社を作ったのである。             

 

ただ、費用以上に利益が出たときが問題で、その場合の税率は50%。

これなら、個人の税率10%で相場を張っていた方がずーっと有利である。

 

だから、投資会社の経営は、大きな利益を出す前に、いかに損金を蓄積しておくかがポイントになる。

 経営のコツは決算上、儲けを出さないようにすることで、これは投資会社に限らず、すべての企業経営の基礎である。決算の損失は7年間繰り越せる。

 

  その損金だが、事業である相場に関わる費用はすべて損金になる。

 相場師の生活は相場中心だから、大概の費用が経費である。

 

 生活費(食費や遊興費)は給料という形に変換することで損金にできる。

ただし、給料には税金がかかる。国税、住民税、健康保険税を合わせると30%以上にもなる。

 (日本の税制は苛斂誅求を極める。そして、この税金は天下り役人に法外な高給と“渡り”退職金として搾取されるのである)

だから、必要以上の高給を取るわけにはいかない。

 

 相場環境が悪く利益が出ていないときは必要最小限に支給し、順調に利益が出ていれば最大限に支給する。

ただし、役員報酬は年度の途中で変更できない。

 

 住居は賃貸住宅を法人で契約し、役員社宅にすることで、約20%の家賃負担で住むことができる。つまり、家賃の8割は損金にできるのである。

 当社の場合、住居と別にマンションを借りて事務所にしているので1.8軒分の家賃が損金となる。

 

 株の配当金は個人同様、源泉徴収されるが、保有期間に応じて還付される。

 

 法人は株と商品取引との損益が通算できる。

 個人の場合は日経225、日経225mini、225オプションは商品取引に区分されるから、これらを株のツナギに使った場合に損益が通算できない。変な税制のため、せっかくの225関連取引も十分活用できない。

さらに株は分離課税だが、商品取引は雑所得で給与所得と合算され累進課税される。

 

 投資会社は消費税の免税事業者である。

 有価証券の売買は非課税取引であるから、有価証券の売却益によって売上が1000万円以上になっても消費税の免税事業者のままでいられる。(一般的投資会社は有価証券の売却損益を売上に計上する)

 

 金利は損金になるので、自己資金がふんだんにあっても借入れをするのも一法。

 

  難点は会社経営において新たに発生するコスト。

 税理士報酬が2万円/月、決算関連11万円/年 合計約36万円/年 

もっと安いところもあるようだが、このへんが税理士報酬の相場のようだ。

 

 税理士など本当は使いたくはないが、決算や年末調整など細かい作業が面倒なので、しかたがない。車のローンを払っていると思えば腹も立たない。

 

 会計ソフトの購入費用4万円ぐらい。

 会計ソフトに取引を入力する必要があるが、もともと玉帖と証拠金元帳をエクセルに入力していたので労力は変わらない。ただ現金出納帳の入力は必要になる。

 

インターネットバンキングも法人の場合は有料になる。

 住友の場合2100円/月。ご冗談でしょう!

 

お薦めは楽天銀行、ゆうちょ銀行に法人口座を開設し、メインバンクにすること。

 楽天銀行、ゆうちょ銀行のインターネットバンキングは法人も無料である。

ただし、楽天銀行は手数料が安いが、税金関係の引落しはできないし店舗もないので、ゆうちょ銀行を併用している。

 

 住友は使うメリットがまったくないので解約。

 残高証明の手数料は840円で最も高く(楽天銀行=無料、ゆうちょ銀行=500円)、40分も待たせた上、後日郵送するという。

さらに、「残高証明の申込書の住所が登録と違う!」と馬鹿な女行員が電話で文句を言ってくる。

あきれて、ものもいえない。

 

  投資会社の経営に慣れるのに時間がかかることも欠点である。

 慣れていないと、会社の資金と自分の資金を区別して考えるが、一体のものとして捉えた方が資金の流出を防げる。そして、投資会社を設立したら、個人での売買はやらない方がいいようだ。

また、慣れるまでは毎月一定の収益を得ようとして、売買が目先的になりがちである。

 目先的な売買では大きな利益を上げるのが難しいから、次第に悪循環に陥ってしまうのである。

  しかし、年末の決算で年間損益を算出するため、次第に相場を一年単位で考えるようになる。これは良いことだと思う。

 

  長い目で見ると、法人で相場を張る優位性は揺るがないと思う。

 会社組織で事業として相場をやっていれば、時間が味方になって自然と損金が蓄積されていく。

そして、個人と法人の2つの立場を活用し、納税という資金流失を抑制する様々な工夫をすることで、「殺すか殺されるか」の相場で得た貴重な利益を温存することができる。

 職業相場師は常に「カネを取るか取られるか」という厳しい局面にさらされ、命がかかっているから、税金というコストも極限まで切り詰めなければならないのである。

 

☆株式投資を企業活動に例えれば一億円の資金の投資は資本金一億円の会社に相当する。

 日本で大企業といわれるのは資本金一億円以上で、従業員500〜1000人、管理、経理部門は5%として20〜50人。

 一億円の資金の投資家は、社長と重役たちと20〜50人の管理、経理社員を一人で兼ねていることになる。(相場師スクーリングp117)

 

☆商品相場では、「商人の目が大切」といわれている。すなわち商人の仕事として売買を行うことが大切なのである。(相場師スクーリングp303)

 

相場戦略研究所 URL http://wedscafe.jounin.jp/