相場哲学 鏑木繁 相場戒律編
成功した相場師はある種の予知能力を持っている。そうした相場師が予知能力を維持し
人生破滅から逃れるには、ストイックで物欲社会の虜にならない強靭な精神生活を維持しなければならない。
即ち『唯我知足』の4文字が必要なのである。p4
「満玉張るな」「見切り千両」等、相場戒律は自らを守るためにある。p5
玄人相場師は危ないところを買っても、相場に対して常に半身で構えて神経を尖らせているから、
失敗しても感づいて対処する。相場師的才覚がない人は「あわれ地獄の道連れ」「相場の露」になる。p16
相場師は狂人的芸術家で、既存の価値、制度、慣習に無反応・無視する。
まともで正常な思考の持ち主では相場で成功しない。p19
玄人相場師が小さい玉で小さく損しているのは、相場の味を見ているのである。p21
相場は自分の欲との戦いである。 p25
『その兌を塞ぎ、その門を閉ず』(老子)
耳目口腹の穴を塞いで、情報、知識、世間の風評を閉ざすと無知、無欲の人間になる。
すると人生の極意に達し、世の中のことが判るようになる。p134
聡明叡智を守るに愚をもってす (孔子)p138
愚も愚を守れば愚ならず (韓非子)p29p160
知を去って愚に徹すれば世の中のことが見えてくる。
知去りて明あり、賢を去りて功あり、勇を去りて強あり (韓非子)p160
さかしらな知識を用いても相場は見えない
小利口さがあると儲けが少ない
むやみな勇も勝負強さにはつながらない
運 鈍 根
運は、天の利、自分の運勢、世の中の流れ
鈍は、賢でなく愚であること
根は、焦ることなく、時運、天の時を 待つ 根気 p161
相場でつまらん苦労をするとエネルギーを消耗し、相場の転機が見えなくなる。p29
曲がり屋は自ら進んで迷路に迷い込んで、焦りのエンジンをかけっぱなしでエネルギーを消耗する。
迷路で苦労しすぎると、判りやすい道に出たことに気がつかない。p138
達人は判りやすい道に出るまで 待つ。
待つ ことにリスクはない。
相場とは 『待つ』 ことと見つけたり。p139
逆境(曲がり)の初期は命取りになるとは誰も思わないものであるが、
そのうちに進退判断が難しい大きな損勘定になるものである。p168
危なくなった時、ためらっていては助かるものも助からない。
利あらざれば一目散に逃げよ。p31
曲がった時は相場から離脱するのが最良の方法である。p37
相場は上昇下降の需給変化によって、見えない強力な敵を戦場に呼び込む。p43
人にはお金が入る器があって、器を大きくしなければ入ってこない。
大概、相場で大儲けした俄か成金は衣食住車が急変して、あと女がつきもので、
儲けた金の3倍は損をして再起不能になる。p133
物事の失敗は、過信と油断で人間である以上避けられない。
自信、高慢、酒の燗。自慢、高慢、馬鹿のうち。p138