相場戦略研究所


 「私が相場で食えるようになるまで」  北浜学園イチロー講習会での講演(17.5.28)



皆さん、こんにちは。私が相場戦略研究所の管理人でございます。

長時間の講習会、お疲れさまです。イチロー先生に教えてもらえるなんて、みなさん、幸せですね。

イチロー先生とは昨年、相場戦略研究所の忘年会でお会いして以来、個人的に親しくしていただいております。その御縁で本日、お邪魔させていただきました。

こんな立派な会場で大勢の方の前で相場の話をするのは初めてなものですから、もし、JRみたいに脱線したらごめんなさい。

 

イチロー先生は学園通信に“大物相場師”が講習会に来ます。なんて書いてましたが、私はそんなんじゃーなくって、なんとか株で食ってる零細相場師です。

2002年6月に会社を辞めましたので、株式専業になって、もうじき満3年になります。

ストレスからか不眠症になったりして、それなりに苦労してます。

ですから、みなさんもあまりいやな会社でなければ、辞めないほうが良いと思います。勤めていると日中、相場のことを忘れられますから。

 

さて、イチロー先生からは、損切りの仕方とか建玉の操作の仕方などを話して欲しいという要望がありましたが、私の売買は、夢中で売買して気が付いたら、こうなっていた、というのが正直なところでして、それを話すのは無理ですから、今日はわたしの経験、体験を中心にお話したいと思います。

最初に、私が現在どうやって食っているか、次に「私が相場で食えるようになるまで」 つまり、どうやって相場で自立したかです。

まず最初にお話したいのは基礎練習のことです。株の売買、相場に上達するには練習しかありません。スポーツと同じです。

 

私が尊敬する 林 輝太郎先生は「売買は一種の条件反射である」といっています。相場に必要なのは条件反射的技術なんです。

他人を頼ってはいけません。練習して自分の腕を上げて、自分の判断でやるんです。

 

剣の達人、柳生宗矩は 『兵法家伝書』のなかで修練について、こういっています。

 

さまざまな習練を極限までおこなえば、手足や身が自然に動き、心はなにも考えないでいられるものである。

心は習得した技に従おうと思わないのに、身の動きは正確に技をあらわす。

敵に対するどのような対応も、自由に、とらわれない境地でおこなえる。

いかなる天魔外道も、こちらの内心を読むことはできない。

すべての物事は、完全に体得すれば意識せずにおこなえるようになり、それが道の極意というものである。

 

私は相場も剣術も“習熟”という点でと同じだと思います。

初心者の人が儲けるために必要なのは約3年間の基礎練習です。基礎練習を繰り返して条件反射的技術を身につけるんです。

基礎練習をしないで相場に臨むことは、刀の抜き方を知らずに真剣勝負をするのに似ています。すぐに殺されちゃう。

基礎練習というのはシュミレーションではありません。

場帖・グラフ・玉帖を用意して300万円程度の小額資金で銘柄を限定して、「分割売買」の練習をするんです。

一枚ずつ、ナンピンで2、3枚買う。戻ったら一旦売り。

こういう地味な売買を繰り返すんです。そうすると、次第に相場感覚、変動感覚が身についてくる。

ここに、私が実際に使った場帖があります。

小豆のサヤ取りの場帖であるブロック、小豆の4本値の場帖、製紙株の場帖。後半に、お話しますが、私が儲けたときに使った場帖です。参考までに回覧します。

 

当然ですが、基礎練習であっても、最大限利益を出す努力をします。このとき注意すべきことは、大きく取ろうとしてはいけません。

基礎練習の目的は、相場の基礎である、「分割売買」などの技術と値動きの変動感覚を身につけることですから、大きく取ろうとすれば、どうしても大化けする銘柄を探すようになり、当て屋になってしまいます。

基礎練習の結果、分割の「売り上がり」、「買い下がり」がおっかなびっくりでも、できるようになればしめたものです。この分割売買の技術を持った人が相場をする資格があるんです。

 

相場で食っていくためには「確実な利益を積み重ねる方法」 を選択しなければいけません。

相場で生活するには、ある程度の資金が必要で、それは五千万円以上 といわれておりますが、銘柄を限定し、確実な利益を積み重ねることができる方法を選択し、元手となる資金の増加をはかり、安定した利益を得られる売買技術を身につけなければなりません。

 

 

それでは、プロのはしくれである私は、現在どうやって食っているか。

現在、FAIで食ってます。

今の相場は上げ相場ですから、「F A I 投資法」が有利です。

ご存知の方も多いと思いますが「F A I 投資法」は林輝太郎先生が主催する"FAIクラブ"が行なっている投資法でFAIクラブが毎月の例会で選定した優良低位株のみを売買します。

「F A I 投資法」は

・ 低位株に限定しているため値下がりのリスクが小さく、大きな損をしにくい。

        価格に対する値上がり率が大きい。

        カラ売りができなくてよい、という優れた利点があります。「F A I 投資法」によって1億円以上の資産を築いた成功者は何人もいるんです。

 

しかも、選定銘柄は 「林 投資研究所」 "研究部会報"に掲載されるので、その銘柄を練習売買することによって利益を得ながら、売買に上達することが可能なんです。

FAI方式を専門に3年間やれば、基礎練習は終了したと言っていいと思います。

"研究部会報"の年間購読料はたった36750円です。

孫子の兵法にも(用間篇)情報料を惜しんではならないとありますが、この程度の金額は成行注文の誤差の範囲内です。ぜひ、購読してください。

私はけっして、「林 投資研究所」の回し物じゃありませんよ。 自分もFAIをやっていて、確実に儲かるから勧めてるんです。

 

200円から300円の低位の優良株の安い所をひろって、40円から50円高のところで売る。

これを繰り返して行けば、金は確実に増えていきます。株は年末年始効果で11月から年末にかけて安いんです。そういうときに買うんです。これをアノマリーといいます。逆に2月から5月にかけて高いことが多い。こういうときに売ります。

この中にFAI方式を知っている方、やっている方はいらっしゃいますか。 はい、ありがとうございます。

ただFAI方式は月足グラフをたくさん書くのが面倒でたいへんなんです。手間がかかるんですね。

 

でもね、林輝太郎先生には怒られるかもしれませんが、月足グラフ書かなくても儲かる方法があるんです。それをお教えしましょう。

私の弟がいます。弟子といってもいい。彼は月足グラフ一枚も書いていないのに昨年は300万円、今年前半も300万円儲けています。

2年前までは場帖すらつけていませんでした。新聞見て安い銘柄をテキトーに買って、一割上がったら売る。その繰り返しです。

そんな言語道断のやり方でも、毎年儲けてました。

 

最近になって、ようやく場帖をつけ始めました。エクセルですけどね。そうしたら、年、300万円儲かるようになった。利益率にして2割ぐらいかな。

損切りは絶対しません。配当金をもらいながら一割上がるのをジッと待ってます。

 

結局、FAI方式で月足グラフを書く、メインの目的は、買う銘柄を決めるためなんです。

でも、買う銘柄は「林 投資研究所」 "研究部会報"に掲載されますから、自分で月足グラフをシコシコ書く必要はないというのが、私の弟の考えなんです。

 

ここにFAI方式の規格でコンピュータ出力された月足グラフのチャートブックがあります。

リターン社というところが出してるんですが、500円以下の銘柄はすべて入ってます。300ページ。値段は1万円です。

最初からすべて手書きするのは物理的に無理なので、こういうものを参考にしてもいいと思います。

 

私は、このチャートブックを見て手書きするグラフを決めていました。

参考に回覧します。重いんで一部分だけ持ってきました。"研究部会報"に掲載されたリターン社の広告も入ってます。

 

FAI新規の買銘柄は選定後1〜2ヵ月の間に安値をつけて、上昇するから、場帖をつけて、自分なりに安いと思った所を買うんです。

 

"研究部会報"にのってる買い銘柄、注意銘柄の安い所を拾えた。

そして、配当利回りが2%以上ある銘柄はジタバタしないで配当金をもらいながら、1.5倍から倍になるまで、じっくり持っていてもいいんです。これは辛抱がいりますけどね。

FAIの選定銘柄の目標は倍になることです。早い遅いはありますが、ほとんど倍になるようです。

 

私は月足グラフ書いています。現在750枚。千枚まで書くつもりです。私の場合、自分で買う銘柄を選定しますから月足グラフが必要です。

 

では、次に「私が相場で食えるようになるまで」。私が辿ってきた道のりをお話しましょう。

相場を始めたのは82年会社に入って一年たった時、そして会社をやめてプロになったのが2002年ですから、プロになるまで20年かかったことになります。

最初はいわゆる当て物売買、上がりそうな銘柄を買う。それをバブルの頃まで続けてました。

最初の資金は100万円ぐらい、ボーナスはほとんど株に注ぎ込みましたから、次第に増えていきました。バブルの最盛期には2000万円以上になっていました。

そして、91年のバブルの崩壊。私の場合も、お決まりの語るも涙、聞くも涙の物語になっちゃいました。

利益ばかりか元金まで失い、気が付けば借金が330万円。2000万円がマイナス330万円になってしまったのです。

毎日、金融会社から内容証明付きの督促状がくるんです。まったく、お恥ずかしい話です。

 

で、大損してどうしたかといいますと、夢遊病者みたいになって相場の本を探しました。そんなとき、田町のある本屋で見つけたのが林輝太郎先生の「商品相場の技術」でした。

立派な装丁の本で7200円。内容もわけのわからないほど凄い。

よほど買おうと思いましたが、株をやっていて、株で悩んでいるのだからと思い、隣にあった「株式上達セミナー」を買ったんです。

これです。忘れもしない91年7月26日でした。

 

これが林輝太郎先生との出会いであり、私の再出発の日だったのです。

「株式上達セミナー」にはナンピン、分割売買、サヤ取り、売買譜といった聞いたこともないような言葉が溢れていました。

FAI投資法で1200万円の元手を10億円にしたいう話には強烈なショックを受けましたね。

でも、このときはグラフやデータスリップを大量に用意しなければならないと思って、断念しました。

最初にやったのは、ナンピンの練習です。日本ユニパックという商社株を1300円で買ったら、

暴落にぶつかって1200円、1100円と百円刻みの3分割買い下がり。1200円にもどって売りました。

とても怖かったですけど、損失はほとんどなかった。

 

次に購読していたチャートブックに北浜流一郎先生の推奨銘柄がありましたので、今度は陰線新値でナンピン買い下がり。3枚買って戻ったところを売ったら利益になった。狙って仕掛けて、しかも短期で始めて儲けることが出来たのです。

銘柄はもう憶えていませんが、このときの感激は今も忘れません。ですから、北浜流一郎先生にはとてもいい印象があるんです。

 

それからは林輝太郎先生の本を片っ端から読みました。

「あなたも株のプロになれる」「定本酒田罫線法」「ツナギ売買の実戦」「商品相場必勝ノート」「脱アマ相場師列伝」 

中でも「あなたも株のプロになれる」の立花さんの売買には痺れました。強烈な影響を受けたと言ってもいいです。

立花さんのやり方はパイオニアだけを売買する一銘柄固定のリズム取り売買です。

私も一銘柄固定で、いろんな銘柄をやりました。「ティアック」「昭和海運」「平和不動産」「沖電気」

しかし、一銘柄固定のリズム取り”うねり取り”は損になることも多く、300万円程度の資金では、しかも、まだ借金です。 生活費を稼ぐにはほど遠い状況でもがいてました。

 

そんなとき、サラリーマンとしてのピンチがやってきました。

私は管理部門にいたのですが、言いたい事を堂々と言ってしまう困った性格で、勤め人には向いていませんでした。

そのため上司に疎まれて、93年8月に子会社に出向を命じられました。やったことがない営業職でしたがリストラですから、文句もいえません。

で、考えました。

「この先どんな目に会うかわからない。会社を頼らないで、相場で生活していく手段を得なければ、リストラで解雇されたら生きていけない。」

そんなとき、愛読していた林輝太郎先生の「脱アマ相場必勝法」という本に小豆の両外しサヤ取りは確実で儲かるとあったので、思い切って林輝太郎先生に電話しましたら、なんと、会ってくださるというありがたいお言葉。

93年の10月に人形町の林先生の事務所でサヤ取りの具体的やり方を教わり、サヤ取りの注文を受けてくれる商品取引の会社を紹介していただきました。

サヤ取りは4年間続けました。最初は儲かって、借金も返せたんですが、残念なことに、私が両外しサヤ取りをはじめてから2年ぐらいで小豆相場のサヤは次第に動かなくなり、儲けるのが難しくなりました。

小豆のサヤ取りでは生活費を稼げないと思い、4年目に中断しました。

しかし、今にして思えばこの4年間が、私にとっての”基礎練習”であり、財産になったのです。そのときは気がつきませんでしたが、自分の相場に対する感覚が大きく変化していたのです。

 

さて、小豆のサヤ取りをやめて、再び、株の売買に戻りました。一銘柄固定です。

大王製紙という株があります。900円から1200円を行ったりきたりしていた株ですが、99年2月頃、500円を割り込みました。財務内容から見て割安で、いつか見直し買いがあると思い、一枚ずつの分割で最大40枚まで買いました。しかし、建玉が20枚を超えると不安で落ち着かないのです。

「あなたも株のプロになれる」の立花さんがやるように、反対玉を建てると少し落ち着きます。吹いた時に建てたカラ売り玉を、押し目で手仕舞うのです。

 

そのうち、新聞の相場欄の近くにある、王子製紙、日本製紙などの値動きが目に入るようになりました。

株価は大王製紙より高く、値動きもいい。小豆の先物に似ている。そう思った私は、大王製紙のツナギとして王子製紙、日本製紙をカラ売りするようになりました。

大王製紙、王子製紙、日本製紙をカラ売りすることで、大王製紙の40枚の買玉を長期間維持することができ、さらに大王製紙株のコストを下げていくことに成功したのです。

 

大王製紙は2000年の6月に800円から1000円ですべて売りました。この一連の売買で私の資金は大きくなりました。

その後、自然と製紙株の両外しサヤ取りを仕事にしました。小豆の限月を各製紙株に置き換えたものと言ってもよいでしょう。

それ以降、製紙株のサヤ取りで生活費を稼ぐことができましたので、2002年6月に会社を辞めて現在にいたっています。

 

しかし、困ったことに製紙株のサヤが、昔の小豆と同じように動かなくなってしまったのです。

そのため、現在はFAI方式をしていますが、サヤ取りと違って片張りは勝手が違って今でも違和感があります。

今の私の拠所は月足グラフであるといってもいいでしょう。

 

それでは最後に、手数料と証券会社について

証券ビックバンとインターネットの発達によって、株のネット取引の手数料はほとんどゼロになりました。

インターネットはいいですね。ネット取引なら、証券セールスマンの営業活動に煩わされることもありませんし、「カラ売り」を知らない証券会社の女子事務員に売りと買いを間違えられるといった注文取次ぎミスからも開放されます。

私は何度もこれで泣かされました。売りだっていってるのに買っちゃうんだ。直させるにしても、女子事務員の上司と交渉するのはめんどくさいし、ひどく疲れた覚えがあります。

 

また、格安手数料のネット取引が利用できる現在の投資家は日本相場史上、最も幸運な人々なのです。昔から日本の手数料は高かったんです。

 

私が株を始めた頃は手数料は1.25%でした。

800円の銘柄だと片道約一万円、往復二万円でした。 800円で買って840円で売って40円幅(5%)儲けても、手数料を払うと2万円しか残りません。

仮に こうした売買を年間60回したとします。

証券ビックバン以前の高額な手数料では年間通算で120万円の利益ですが、現在のネット取引手数料(片道千円)で同様な売買をすると、228万円/年、腕前がまったく同じ投資家が一挙に1.9倍の利益を得ることになります。

 

林輝太郎先生は証券ビックバン以前に「年間通算して1円でも利益なら名人と言える」と仰っていました。

手数料が下がったことで多くの投資家が労せずして名人の域に到達できたともいえます。

 

しかも、ネット取引は手数料を気せずに済みますので、確実な利益を積み重ねる 丁寧な こまめな売買が可能になり、そうした売買を繰返すことで、売買技術を身につけ易くなりました。

といっても、基本は朝の寄付きの成り行き注文です。これは守らなくてはいけません。

手数料の低下で「株のプロへのハードル」は相当、低くなったといえるでしょう。

 

みなさんが、相場で食えるようになることをお祈りして、私の話を終ります。

ご静聴ありがとうございました。



 


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