林輝太郎先生にお会いした時のメモ

2012/2/25() 午後 2:20

 

 昨日、林輝太郎先生にお会いした時のメモを発見した。また紛失するかもしれないので、ここにアップしておくことにした。

 

 最初に林輝太郎先生にお会いしたのは、18年前の93年9月10日だった。

 当時、勤務していた会社で子会社に出向(管理部門から営業職)を命じられ、先行きが怪しくなっていた。

できるならば、サラリーマン生活に見切りをつけ相場で生計をたてたかったのだが、

 株の片張りでは、取ったり取られたりで、利益が出る年があっても、とても生活できるだけの金を稼ぐまでは至らず、悩んでいた。

 

そんなとき、林輝太郎先生の「脱アマ相場必勝法」の“確実な利益を見込める現物サヤ取り”という記述に感動し、できることなら「現物サヤ取り」、もしくは「両外しサヤ取り」に転向したいと思って電話したのである。

 

 93年の9月7日に林輝太郎投資研究所に「“脱アマ相場必勝法にある現物サヤ取り”をやりたい」と電話すると

 

林輝太郎先生が丁寧に、説明してくださった。

 「現在、会員の中で現物サヤ取りを、やっている人はいない。

それは、個人が現物サヤ取りを行う場合、現受けした小豆の品傷みのリスクが大きいのと、倉庫保管料などの経費が負担になって利益を上げ続けるのが難しいからだ。

 

  だから、やるのであれば、「両外しサヤ取り」である。

 「両外しサヤ取り」は品受けしない前提で仕掛けるもので、順ザヤの場合は安全で成功率はすこぶる高い。

ただし、欲にかられて逆ザヤに手を出して損をするケースもあるから、慎重にやらなければならない。」

 

 「わかりました。では「両外しサヤ取り」をやりたいので、教科書の「両外しサヤ取り教程」を売ってください。」と言うと

 

「教科書の「両外しサヤ取り教程」はアマチュアのお遊びのためではなく、

プロの仕事としてのサヤ取りを志す人のための本である。

いつでも在庫はある。いろいろ注意事項もあるから事務所にいらっしゃい。」

 

で、3日後の9月10日、人形町の林輝太郎投資研究所を訪問した。

 人形町で道に迷って約束の3時から1時間も遅れるという大失態にもかかわらず、丁寧に応対してくださった。(相場に迷えるマヌケな子羊)

 

 以下はその時の要旨

 

 「で、なんで損したんだ?

どんな株をやってる? 蝶理? ゲテモノが好きなのか。

これから年末にかけて株は下がるとみている。私は売っていますよ。」

 

 株のサヤ取りをやったことがあります。

 「そうか栗山先生の本を読んだんだね。

それなら、慣れている株でのサヤ取りをやりなさい。」

 

いえ先生、株のサヤ取りは数回やってみたのですが、手数料が高くて利益を出すのは不可能です。

ですから、小豆のサヤ取りをやりたいのです。

 

すると、林輝太郎先生は少し考えて、

 「うん。そうだな。」

といってそれ以上は株のサヤ取りのことは言わなかった。

 

 「道具が大切である。

 金を稼ごうと思ったら、アマチュアの道具を使ってはならない。

プロの道具を使え。」

 

 (この時、物凄く太く巻いてあるサヤ線グラフを見せてくれたのだが、

テーブルに置いた時の「ドスッ」という音と、

 「これで何億も稼げる」という林先生の言葉は今も耳に残っている。)

 

 手製の場帖をコピーして使っている というと

「そんな場帖じゃ、だめなんだよ。コピーの黒は目を疲れさせるから、こういう茶色の罫がいいんだ」

 

 「勉強のノートを作りなさい。大切なことを書くのだから、リヒトの本皮のルーズリーフ(当時 約7000円)を買いなさい。」

 

 「グラフは折線グラフに限る。ローソク足は値の流れがシビアにでない。」

 

 「店も大衆店でなく、プロの売買ができる地場の店を選びなさい。」

 

 「教科書の「両外しサヤ取り教程」には高度な技術も載っているが、

 簡単なことの繰り返しが大切だ。

どっちつかずになるから、他の人の本を参考にしてはいけない。」

 

 「サヤ取りをやるなら、プロの仕事として装備を万全にして、おやりなさい。

 株はやめてサヤ取りに集中したほうが良い。」

 

 「月30万円として、年360万円稼げれば、なんとかプロになれるが、恒常的に利益を出し続けることは、なかなかできることではない。

だから、会社勤めは すぐに辞めないほうがいいよ。」

 

この日、教科書の「両外しサヤ取り教程」、商品取引用場帖用紙、ブロック用紙、小豆相場パンフレットコピー、林レポート 相場技法抜粋コピー等を買い、 小豆限月間両外しサヤ取りで相場再出発を図ったのである。

 

 

 追加

 

 93年12月28日に、研究部会報を申込に再訪問した時の教え

 

小豆のような国内商品を専門にするプロは多い。

 他の商品と違い手数料負担も少ないから、あなたも努力してプロになりなさい。

 

これから小豆のサヤは大きく動くかもしれない。

だから、試しに複数の組合せで建てて、有利なほうに多く乗せるような商いを心掛けなさい。

 

 「サヤの動きに例外はない」という意味は

先限は常に人気を反映し、当限は現物価格を反映する。

だから、両者のサヤは 

 品不足なら逆ザヤ。

 不作なら順ザヤになる。 ということである。

 

 戦前の小豆相場の生き残りの古老の経験上の言葉として

豊作の年の底は7月26日

 凶作の年の底は11月26日

 9月を基準として2ヶ月ずれる。

 

 

 94年8月8日訪問時の教え

 

買いはゆっくり。

 見込みで安い時から早めに買い出動しても、その後下げることが多いから気分が悪いだけで良いことはない。

 売りは早く。

 

そして、当限まで玉を持ち越してはならない。

 

 小豆の輸入自由化は気にしなくてよい。相場においては、余分なことは知らなくていいのだ。

 小豆相場では、新旧格差は千円であることだけを知っていればよい。

 

 

 「FAI投資法バラコピー が欲しいのですが」と言うと

 ダメです。

あなたは今、小豆のサヤ取りをモノにすることが大切なのです。

 

 FAI は資金が一億円になってからやっても間に合う。

だから、今は小豆のサヤ取りに集中することが大切だ。

とにかく、手を広げないほうがいい。邪心を抑えて本業のサヤ取りに取り組むべきです。

 

 

 追加

 

 「相場の同志への返信メール」

 

ご連絡ありがとうございます。

 私も3/2、ブログの書き込みで訃報を知りました。

 

 林輝太郎先生のおかげで、相場で食えるようになったのですから、

 自分の大恩人ということになります。

 林輝太郎先生は生年が父と同じで、相場上の父親と思っておりましたので、まことに残念です。

 

 林輝太郎先生は、4年間、私の小豆の限月間サヤ取りの注文を山善商事に取り次いでくれました。

 林輝太郎先生に注文を出す*のですから、いいかげんな注文はだせません。

 真剣でした。

 思えば、この4年間が私の基礎練習となり、サヤ取りを体得できたのだと思います。

 

 本日、林輝太郎先生の新刊「松辰遺稿 相場の道」を注文してきました。

じっくり、読みたいと思います。 相場戦略研究所 管理人

 

 

 *当時、自宅の電話機の短縮ダイヤル第一ボタンに、林輝太郎投資研究所の電話番号を登録し、出勤前の7時40分頃電話してサヤ取りの注文を出していた。


その注文の出し方 (新規注文の場合)

 「林です。」

 「おはようございます。注文をお願いいたします。 ○○○○です。

 小豆12月限 一枚買い新規

 小豆3月限 一枚売り新規 同時でお願い致します。」

 

すると林輝太郎先生は

「復唱します。小豆12月限 一枚買い、小豆3月限 一枚売り。同時。」

と応えてくださったのである。

 

 

 

  相場戦略研究所 http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1289/