福澤桃介

2009/6/16() 午後 8:46

 

福澤桃介式 株の極意

 

☆株のやりかた

 世界中で金をこしらえる一番やさしい方法は株の売買である。

この辺が騰貴の極点と見定めたら売る。

その後、株が下落するのを待って買う。

また、騰貴したのを見定めたら売る。

なんでもない、とても簡単なことである。

 

 株は、商品と違って利息(配当)を生じる。

 値下がりしても利息は入るし品質の劣化はない。

 2年、3年もっていても、決して損にならないということは、とても幸せなことである。

 

 対して、商品は利息を生まないし、倉敷料も払わなくてはならない。

さらに品質の劣化も心配だ。

 所有している期間が長いだけ価格は下がる。89

 

 土地は売りたくても、すぐには売れないが、株は即座に売れる。

 

 不動産、商品の保管には大きな場所が要るが、株はポケットに入れておける。

ゆえに株は投機に最適である。90

 

 株で儲けるには配当利回りで買うことである。配当利回りが良い株を100円で買う。

 割安に買ったものは150円で売る。あまり欲をかくと、儲けそこなう。

 

また、安全を重視して銘柄を選ぶこと。

 郵船、鐘紡等基盤が強固なものを選び、会社の基礎が薄弱な銘柄は買ってはならない。

 配当利回りがよくても、倒産してしまえば大損する。93

 

 株に費やす資金

 全資金を投入してはいけない。

 借金は絶対いけない。借金するから破産する。 世の中で借金ほど人を不幸にするものはない。

 

 借金のための信用など不要なものである。信用という、金を借りる道があればあるほど深みにはまる。

 

 世の中に銀行という人を滅ぼす道具があって、人の財産を根本から取り上げてしまう。

 銀行は、株式売買において人を滅ぼす一大機関である。

 

 日露戦争後の反動で、株で失敗し、倒産したものの多くは銀行から金を借りた人である。94

 故に、投資家、起業家を滅ぼすものは銀行である。95

 

 株の売買の注意点をまとめると

 1.配当利回りを基準に売買する。割高なときは手を出さないこと。

 2.会社が安全な銘柄を選ぶこと

 3.けっして借金しないこと

 

 株式相場は、時の金利と配当利回りで定まるべきものだが、人気によって始終この圏外に逸出する。

 そうしたときが、安全に金を儲けるための道ができるので、その人気を利用して金を儲けるべきである。97

 

☆相場というもの

相場を長くやっていれば、いつか殺られてしまう。

人間は勝ちを重ねれば止められなくなるが、いつまでも勝ち続けることはできない。5

 

 自分には相場で儲ける腕かあると信じながらも、あえてそうしないのは、奈落の底に落ちるのを恐れるからである。52

 

 株が上がるというのは麦酒に泡が立つようなもので、泡が消えてしまえばもとの木阿弥。58

 

いまでも、株の売買をしているが自分の全財産をかけたりしない。62

 

☆金というもの

結果的に金ができても、それほど面白くない。

 金というものは、持ってみるとそれほど楽しいものではない。

 金を儲ける過程が面白いのである。50

 

 起業者があって始めて国富が増進する。8

 

 

書評『福澤桃介式』

 パンローリングのサイトで福澤桃介の著作が文庫で出版されたのを知り、早速買った。

『福澤桃介式』パンローリング 文庫判 224735 (税込)

その前には山崎種二氏の「そろばん」も文庫で出版されていて、近頃パンローリングはいい仕事をしている。

  福澤桃介、山崎種二、いずれも相場で大成功し、終わりを全うしている稀有な大相場師。あやかりたいものですね。

 

 周知のとおり、福澤桃介氏は日本相場史上屈指の大成功者であるとともに、相場で儲けた巨額の資金をもとに関西電力の基礎を築き上げた、

 日本資本主義史上の偉人、傑物である。我が国において、これほどの資本主義的成功者は、もはや出現しないだろう。

 

 本書は福澤桃介氏が慶応義塾の後輩に対する講演を集めて出版したものであり、後輩に対する暖かい思いやりに満ちた人生の指針である。

だから、すべてが本音で語られていて嘘がない。

 

  我々、相場人にとっての目玉は、なんといっても「第三章 金儲けは株にあり」である。

 福澤桃介氏が説く「株のやり方」は

 1.配当利回りを基準に売買する。割高なときは手を出さないこと。

 2.会社が安全な銘柄を選ぶこと

 3.けっして借金しないこと

 オーソドックスで堅実なごく当り前なやり方あるが、これを守ることができる一般投資家は少ない。

 

  天才相場師 福澤桃介の相場の極意は次のように、あっさりと述べられている。

 「株式相場は、時の金利と配当利回りで定まるべきものだが、

 人気によって始終この圏外に逸出する。

そうしたときに、安全に金を儲けるための道ができるから、

その人気を利用して金を儲けるべきである。」

  筆者は「人気によって相場が行き過ぎた時の逆張りが金儲けのチャンスである。」と解釈したが、はたして、どうであろうか。

 

 

相場戦略研究所 URL http://wedscafe.jounin.jp/