練習していれば損しない

2009/4/5() 午前 11:11

 

☆ソロスでも基礎固め10年

  ジョージ・ソロスは1930年ハンガリーのブタペストで生まれた。

ウォール街に移ったのは1956年、グリニッチ・ビレッジの小さなアパートに住んで基礎のサヤ取りばかりやっていた。

  ロスチャイルド系のキットカット・アンド・エイトケンの支援でクォンタム・ファンドを設立するまでの約10年間は、自己資金で単純なサヤ取りの繰り返しで基礎固めをしていたのである。(研究部会報2K.7 p59)

 

  サヤ取りは確実な利益を積み重ねて大きくなるものだから、続けていれば自然に大きくなれる。1〜2年の基礎固めの単純な売買をやっていても利益がでて資金は増加していく。(研究部会報2K.9 p85)

 

 証券手数料自由化とインターネット取引で、手数料が大幅に下がると聞いたとき、「これで人生の勝負に勝ったかな」と思った。

それまで、年間損益はややプラスか±0近辺で推移しており、証券会社に支払っている手数料の半分でも手許に残れば、プロとして生活していけると確信したからだ。

 

 我々投資家は、そうした環境の革命的大変化に、本当はいくら感謝しても感謝しきれないのだが、空気や水と同じように次第に慣れてきてしまっている。

だが、もういちど証券ビックバンとインターネット革命の恩恵について考え直すべきなのではないだろうか。

 

ネット取引については林輝太郎先生は一貫して否定的である。

 「売買回数が増える 目先を追う 刹那的売買になる 

 

そして次第に投資家自身をダメにしていく」という。

 

しかし、ネット取引の安い手数料の利点はそれらの欠点を補って余りあるものである。

また、売買回数が増えるのは良くないのだろうか。

 手数料が高かった昔と違い、現在の環境下において売買回数が増えるのはむしろ自然な現象ではないのか。

そして、刹那的売買にならないように練習売買を何千回も繰り返し、ネット取引に合致した売買技法を編み出すとともに、自分なりの売買の型を習得するべきではないのか。

 手数料が安いからそうした習練が可能なのだ。

 

 林輝太郎先生の禁止事項に

「日中に証券会社に電話して値動きを聞くことは絶対禁止」とある。

 会社勤めをしていたころは、朝の寄付で成行注文を出し、出社した後は相場のことは忘れていられた。

しかし、会社をやめ、専業になると時間はいくらでもあるし、高速インターネット回線が接続されたパソコンがすぐそばにある。

 日中の値動きを見ないことは、結構ストレスになり、拷問に近い。

 相場の友人が「今日は高いね」などと電話してくると、「この野郎!」と本気で怒ったものである。

 

それを、昨年までは守っていた。しかし守っていても業績は振るわない。

もっとも、下げ相場でFAIをやっていれば業績が悪いのは当然ではあるが・・・。

 

で、今年からすべてを白紙にして一から出直すことにした。

 買っていたFAI銘柄を全部売却。月足グラフは撤去した。林輝太郎先生の禁止事項も白紙にした。

 

道の進歩の道程をあらわす『守・破・離』とは、主の教えを守り、それを破り、さらにそこからも離れて自分の流儀をつくることであるという。

 全部新しくして再出発。一から出直し。

 

 林輝太郎先生の本に「休んでいれば損しない」という非常によい言葉がでてくる。

しかし、休んでいると損はしないが売買の進歩もない。

 今、事務所のホワイトボードには

「練習していれば損しない」と大書きしてある。練習売買をしていれば大きな損はしたくてもできない。

 

 今年は基礎固めの年とし、サヤ取りに絞って4千回の練習売買をすることにしたのである。サヤ取りだからポジションは必ずスクエアである。

 

そして、敵中に切り込む覚悟で、カマボコになって一日中板に張り付くことにした。

 注文は全部ザラバの指値。

どうせ時間はいっぱいあるし、仕事だから相場にどっぷり浸かって生活することにしたのだ。

 安さん曰く「相場だって溺れなきゃわからない」

 

 今のところは、これがよかった。サヤ取りは練習売買でも利益が出るから、次第に業績も上向いてきている。利益が出ているということは、正しい売買をしているということである。

 

 現在、我が社のインターネット環境は光ファイバー回線である。下りの実測で61Mbps

 昔のダイヤルアップ回線の頃に比べるとかなり早い。

 事務所が取引所と直結し、ディーラーのように板を見て売買できる夢の環境が現実のものとなった。

こうした環境を前提とし、立花さん的に自分の型を作って、それを守って売買していくことが重要なのである。

 

柳生宗矩『兵法家伝書』の

 習練を極限まで行えば、手足や身が自然に動き、心はなにも考えないでいられる。すべての物事は、完全に体得すれば意識せずに行える。それが道の極意である。 

という域に4千回の練習売買でたどり着くのが今の自分の目標なのだ。

 

  5月1日時点でエクセルの玉帖は1537レコード。4ヶ月で1500件だから、年末までに4千件は到達しそうである。

 

⇒真剣に練習しすぎて、この後、甲状腺膿腫という病気になった。過ぎたるは及ばず(笑) 2019.12.4