六甲伝

2009/7/9() 午後 2:43

 

○相場の心得

 一.資金は三分の一

 

 二.利食いは建玉の7割に止め、残りは維持すること。

  すべて手仕舞いすると、利食いドテンする危険がある。

 

 三.相場が見込みどおりになったなら、利食いして4、50日休むこと。

  休むということは天底を見極めて時期を待つということである。122

 

 四.天井売らず 底買わず 

 

 五.大衆が西に走る時、己が東に歩いていけば、必ず利益になる。

 

○相場は年一往復

  相場は一年の間に上げ一度、下げ一度の一往復をするものである。

 上げ、下げの本流の相場の間には逆行の動きもあるが、それは相場の呼吸というもので、そうした動きに惑わされてはならない。57

 

 日々の高下に迷って、思いつきで売買すれば損をする。

 一年の内で大丈夫の商いができるのは1、2回しかないはずだから、相場が2、3ヶ月上げる、もしくは下げると見定めたうえで売買するべきである。54

 

○日柄

  相場は大きく逆行の動きをすることがあるが、日柄が十分でないときは方針を変えてはならない。120

 

 相場のアヤ的動きに惑わされず、日柄が経過するまで「売り」「買い」の方針を変更してはならない。108

 

 日柄が十分でないときは枚数を増やしてはならない。117

 

 日柄が十分で、一割以上の逆行をしたときは大概が天井・底である。111

 

 相場の高低の日柄には限度がある。天井・底から6ヶ月、日数で150日経過したときは高低の限度である。99

 

○先手の仕掛け

安値をつけ日柄も十分で相場が底打ちしたと判断し、100枚買う場合、

まず、五分の一の20枚を買う。

 一週間経過して、底打ちが確実なら、さらに20枚買う。

また一週間程度、日にちをおいて20枚買う。

 残りの40枚は上げの途中の押し目を狙って、分割で買っていく。

これを先手の仕掛けといい、失敗は少ないものである。

 

 最安値を一発必中で、まとめて買おうとすれば、

 結局、買いそびれて、高値を飛びつき買いし、その後の保ち合いで買い玉を維持できず損をしがちである。

これを後手の仕掛けといい、勝利は得がたいものである。89

 

○天底観測法

 3ヶ月の日柄が経過し、高値をつけたのちに行き止まり、30日経過しても前の高値を抜けない場合は天井と見なすべきである。

 

 3ヶ月の日柄が経過し、安値をつけたのちに行き止まり、4、50日経過しても前の安値を下まわらない場合は底と見なすべきである。90

 

○追っかけ商い するべからず

 相場が大きく動くと追っかけ商いをしたくなるものだが、押し目、戻りを待たなければならない。

そして、5回以上の分割売買をすること。115

 

○建玉の3割を温存する

 日柄不足の急騰、急落で利食いをする時は、建玉の内7割を利食いし、残り3割は温存すべきである。

 残らず手仕舞いしてしまうと、ついドテンして損をすることが多いものだ。

これは秘伝である。22

 

○踏み出し

踏み出しが理にかなっており、利が乗れば心理的に優位になれる。57

 

  相場は踏み出しが大切である。それが悪いときは必ず失敗するものである。

また、売買は急いではいけない。急いだ売買も失敗する。

 

 売り、買いともに仕掛けは3日待つべきで、これは秘伝である。

 

 踏み出しが大切なのは想定外の事態が起きることがあるからである。

 

 季節と米の需給を考え、日柄から天井と底との位置関係を確認して、徐々に売買すべきである。

 

 底の値段が出ない内は、何ヶ月でも見送り、思い描いていた状況がくるのを待って仕掛けるべきだ。

 

  売買を待つというのは底値、天井を見極めることである。

 

 天井と底を知れば、有利な売買ができ、損をすることがない。

 

○休み (時期を待つ)

 2円以上の高下を的にして手仕舞いし、40〜50日休むべきである。

 休むというのは天井・底値段を見るためであることを、心得なければならない。

 

 買い玉を持っていて、見込み以上に上げたときは気分が高ぶるが、早々に利食いして4,50日休むべきである。61

 

 買って入ろうと様子見をしているとき相場が上げてしまうと、逆にカラ売りすることがあるが、これは間違いである。

 

 買い遅れたと思うときは、しばらく辛抱して買い場を待つべきである。買い場は必ずあるものであるから、急いではいけない。

 

○通い

上げ相場の押しは1割上げて4分押す。下げ相場の戻りは1割下げて5分戻る。34

 

○相場の極意

  米の値段が上がるときは、産地の現物相場が上がり、生産者も先高を見込んで売り惜しむため、米相場はますます上昇する。

 市場の買い人気が強く、自分も強気になって買い注文を出したい時は、心を転じて売り注文を出すべきでなのある。

 

 大衆が西に走るときに、己が東に向かって歩いていけば、必ず利益がある。

これが相場の極意である。けっして忘れてはならない。

 

 下げ相場においては、この心得を表裏にして、現在の米の値段が天井と底のどこに位置するのかを考えたうえ、海中に飛び込む決心で買うべきである。

 必ず利益になること疑うべからず。

 

 米の値段に上げ下げはあるものの、相場の様子に転機の兆しはなく、産地の在庫は豊富で需給が悪く、買い人気がない。

 米相場は日々新安値をつけ、どこまで下げるか見当もつかない。そのため、己が売り方針であり、大衆も弱気で売り込んでいる。

このようなときは、心を転じて買いこむべきである。必ず利益になるものだ。

 

そもそも、この相場は下げるに違いないと見込むとき、己の思い込みどおりに相場が下げてくれれば、相場の世界に、なんの苦労はない。

 相場というものは、人気が下げに偏ったとき、かえって人気に反して上がるもので、人知の及ばないものである。

 上げ相場のときも心得は同じである。

 

○天井かよい相場

 上げ相場が天井値段をつけ、その日高値で行き止まり、その日のうちに反落した時、この日の高安を記憶しておくべきである。

 多くの場合、相場はこの日の高安圏内に一両日の内に戻るものである。

 

しかし、最高値を更新する力はなく、次第に下落し、再び上げる力がない時はここでカラ売りをするべきである。

 高値圏にあるときは人気が旺盛で下げ渋るものであるが、次第に有力な買い物がなくなり、一気に5、60円も棒下げすることがある。

 

そうした相場が行き過ぎたときは、産地の米価を考えたうえ、買ってみるべきである。多くの場合、戻るものである。

 

これは、天井かよい相場であり、この翌月に上げ止まったならば、決心して売り込むべきである。

これは秘伝と心得るべきである。

 

○天井行付値段

  天井行付値段というものは数ヶ月の間、高安があり、次第に上昇し5、60丁も引き上げ、

その後、上がるか下がるか判断いたしかねる足取りになるとともに毎日僅かずつではあるが上げか続き、

ぴたと上げか止まったとき、これが年中の行付天井値段と判断するべきだ。

 

 (武田惟精著 『六甲伝と二段波動理論』の六甲伝の原文を管理人が意訳した)

 

 

 

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