蓄財の技術
2008/12/24(水) 午前 5:44
蓄 財(1) ( 林輝太郎の売買上達セミナー 145・連載 )
○利益の蓄積
株をやるのは儲けるためである。中には趣味として、頭の体操として損益を度外視してやる人がいるが、それは例外中の例外であろう。
たとえば、37年前『商品取引で儲けろ』(廣済堂出版刊)という本に書いたが、歯科技工士の人が奥さん公認で、毎年100万円まで損していい、と趣味としてやっている人がいたし、元国鉄(JR)総裁で、たしか石田禮助という人が、老後はぼけないために損してもいいから株の売買をすると言ったが、趣味や頭の体操は、熱くなって破産するところまでいかないのだからそれはそれでいい。
だがやはり利益を得るためにやるのである。
それにも、プロとして生活費を稼ぐため、財産をつくるためがあるが、生活費を稼ぐといっても、生活費プラス多少とも利益の蓄積が欲しいはずで(生活費キリキリでは不安)結局は財産を増やすために売買することにかわりはない。
「儲け方」という本はたくさんあるが、「財産のつくり方」と具体的に財産の蓄積のし方を書いたものはないようである。
この連載でも、売買で利益を得ることについてはくどいくらい書いてきた。
最近の拙著『財産づくりの株式投資』(同友館刊)でも、財産づくりのステップに乗れたところまでで、読者から「ステップに乗ったあとはどうすればよいか」との問い合わせがきた。
また、先日「少しずつ利益が積み重なるようになったのですが、そのあとドカンと損してしまうのです。それを避けるのは、やはり売買技術とは別に、蓄財の技術というようなものが必要だと思うのですが」という方が会社に来て、「そう言われればそうだな」と思ったことがあった。
○大切な “休み”
しかし、今までにも、
「儲かったときに 区切りをつけなければいけない 」
とか、利益が積み重なって、たとえば1,000万円が3,000万円になったとき、
3ヵ月か6ヵ月くらい休んで、
これからは3,000万円の運用をするんだ
という新しい気持ちになることが必要、ということは書いてきたが、それとは別に前述の蓄財の技術のようなことは書かなかった。
それは精神論的なことが加わるかもしれないが、具体的に書かなければ意味がないのだからむずかしい。しかし、それは儲けてからのことだ、というのは誤りである。
蓄財の技術と言った人がいい例である。
はじめから証券会社にだまされたりセールスマン頼りで損する人は別にして、内部から投資家をみているとよくわかる……というよりおよそ決まったパターンがある。
損したり儲かったりしていた人が、あるときから急に利益が続いて資金が2倍くらいになる。ところがそのあと資金いっぱい高値で買ったり、大きく損が続いたりして元の本阿弥どころかアシを出してしまう。
本人の心のゆるみなのか、ツキが消えたのか、あるいは欲を出しすぎたのか、一挙にいままでの利益も元金も無くしてしまうのだ。
財産を築く第一歩は、まずこのケースを避けることである。理屈としては、
見込みが違ったら損の少ないうちに切る
のがいいのだが、言うは易く行うは難しだから、仕掛けなければよいのだ。
だから、このケースを避けるには、
『 儲かったあとは休む 』
のがいちばんよいことになる。 もちろん
『 損したときも休む 』
儲かったあとは気がゆるんでいるし、損したときは落ち込んでいるし、
儲かったときは俺はツイているからもうひと儲け、となるし、
損したときは早く取り返そうとあせるから はじめから心理的に負けているのだ。
○はじめは大決心
では、どれくらい儲かったら休むのか、資金が2倍になったらか、3回続けて利益になったらか、これもむずかしい。2回続けて儲かったら3回目は外れるのか、1回儲かったら次は損をするのかわからないから、儲かっても損しても1回ごとに休みを入れたほうが安全である。
そんな気が小さくては大きくなれないという人がいるが、儲かる人は2〜3%という狭き門なのだし、相場を始めたからには何がなんでも勝たなければならないのだから安全安全に行ったほうがよいのである。
だいいち、1年間のグラフを見てみて、どこが取れるか考えてみるとよい。いくらうぬぼれの強い人でも取れるところは2、3箇所ということがわかるだろう。
鏑木繁著『相場難儀道』(投資日報社刊)という本には、
「相場の恐ろしいことはいつも儲かる気がすることである」と書かれている。
また、“休む” ことがなかなかむずかしいことも多くの本に書かれている。休んでいると儲けを逃すように思われるからだ。
しかし、嫌々でも1度か2度やってみるとあとできるようになる。
それははじめは大決心が必要だが、1度か2度の経験でできるようになる。( 林輝太郎の売買上達セミナー 145より )
蓄財(2) ( 林 輝太郎の売買上達セミナー 146・連載 )
○ 休みを入れる習慣
『うねり取り入門』(同友館刊)に次のように書いた。
「2年半くらいさかのぼって何銘柄かのグラフを描いてみることは、めんどくさいですが、描いているうちに面白くなって、思わず20銘柄くらいすぐ描いてしまいますよ。(中略)ふーん、こんな動きをしていたのか、知らなかった、と興味がわいてきます」
また、休みについては、
「うねり取り成功のコツは休みを入れる(売買に区切りをつける)こと。(中略)それが次の利益をもたらす。
もちろん、たまには上げを取り、ツナギを行い、次第にドテンして下げを取るという往復を取れることもある。が、そういう場合は数ヵ月から1年も玉の増減をはかりながら売買を続けるのだから緊張し続けであり、精神的消耗が激しい。
休養が必要である。心理の慣性を絶つ、といってもよい。そうでないと精神的健康をとりもどせないのである。
資金の小さいうちに休みを入れる習慣をつけておかないと、資金が増加し、売買数量も多くなったときに対処できなくなってしまうのである。
元にもどって、2年半くらいさかのぼって描くグラフは、もちろん日足(陰陽足か大引値の折れ線グラフ)である。そのグラフを見ていると、天井や底の動き、往来の動きがよくわかり、もちろんあとから見るのだから当然だが、取れるところ・取れないところもよくわかり、その後その銘柄の売買をするときに大いに参考になるものなのである。
○ グラフは実践的に
グラフについては議論・説明をはじめるとキリがないし、売買と結びつけると複雑になるが、いくつかの説明を加えよう。
グラフをたくさん見ていると、思いもよらなかった「自分の好きな動き、嫌いな動き」が出て驚くことがある。これはとても重要である。好きな動きの銘柄なら利益をあげられるし、努力を続けることができる。
また、以前に何回も利益をあげた銘柄をみて、こんな動きだったのか、嫌な動きだな、深入りしないでよかった、となることもある。
また、全く業種のちがう銘柄でも同じ動きをしているものもあるし、その逆のものもあるので驚くことがある。ファンダメンタルズの違う銘柄なのに、同じような動きをみせるものもある。もちろん動きにもいろいろある。
上げ下げの周期がほとんど一致する
以外に、
天井や底のジグザグのし方、集合形
上げ下げの途中の往来のし方
が似ていたり、似ていなかったり、また、
底や天井をつける時期がいつもずれる
という異銘柄も見つかる(系列会社が多い)。
そして最終的に、
こんな動きのときに売買するのはつまらない
(精神的負担が大きいのに利益にならない)
このときなら(自分には)利益をあげられる
ということがわかってくる。
しかし、つもり商内ではない。売ったつもり買ったつもりのつもり商内は、いかに「ひとつのシミュレーション」と言いわけしても、机上の空論になってしまうのである。
○ テクニカル分析の3原則
『あなたも株のプロになれる』(同友館刊)の著者立花さんは、パイオニアの3年5ヵ月分のグラフを六畳の部屋いっぱいに広げ、3ヵ月も見ていた。
そして、その間にあらためて場帖から別のグラフ用紙に1日ごとにグラフに描き足しながら「ここで買い、ここで売り」と記録をとったが、やはりつもり商内はだめだった(自分の向上には役立たなかった)と書いている。
また、白い大きな紙をグラフ用紙の上に乗せ、1日ずつずらしながら、そろそろ動きそうか、天井に近くなってきたか、などと考える、その程度で十分だという人もいる。
以上、グラフについて書いてきたことは、いわゆる「テクニカル分析の3原則」といわれるもので「テクニカル分析の哲学」ともいわれている。日本の本にはほとんど書かれていないが、アメリカの本には必ず書かれている。
@ 市場の動きはすべてを織り込む
A 価格の動きはトレンドを形成する
B 歴史は繰り返す
「市場の動き」とは「価格の動き」と同じとみてもよいが、人気、指数などの指標を含んでいる。
「歴史は繰り返す」とは、背景となる経済状勢は時代によって異なっていても、人間の心理は変わらないのだから、グラフ上にあらわれるパターンは同じように現れるから、過去を研究することは将来を理解するのに役立つ、という意味である。
また、市場の動きはすべてを織り込むということは、あらゆる情報やニュース(ファンダメンタルズに影響される動き)がまだ表面に出ないうちに次第に値動きに織り込まれていくのだから、テクニカル分析はファンダメンタル分析も含んでいるともいえる。
( 林 輝太郎の売買上達セミナー 146より )
☆小豆相場の成功者Tさんの資金管理
商品会社に預けてある資金は3000万円。
売買は最高で30枚。資金の10分の1に過ぎない。
利益金が増えて、預け金が3500万円になったら
500万円引き出して、それを生活費として、余った金は貯金する。
その貯金が20年間で7億円になったのである。(研究部会報99.9 p77)
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