売りの技法

2009/5/24() 午前 11:48

 

『売りのテクニック』より (本書は「売り」についての総集編である)

 

○鈴木 隆の「売り」についての考え方

  売 買 を比較した場合は、売りが有利である。

従来から株を所有する売方は知識経験、資産力が優れているから、最終的には勝つことが多い。

 

☆鈴木 隆の小豆相場の張り方

  鈴木 隆は「値についてゆく」相場師で、売買判断は酒田新値によっていた。

 上げ相場では、押しが終るのを待って、前場2枚、後場3枚と少しずつ買う。

毎日買うから、枚数は100枚ぐらいになる。

 

 急騰すると30枚ぐらい売る。

その後、押目終了と思われるところから、再度買いはじめる。

 

 上げの八合目ぐらいの「天井近し」と思われるところからツナギを始め、

 下げに転じると毎日、手仕舞い売りをするから売玉が残る。

 

 戻りで売り増しする。

 

 残った売玉はほとんどを納会まで維持する。

 納会ごとに大きな利益になり、上げ相場の倍の利益をあげる。58

 

 ☆5月連休前後効果

  うねり取りのプロはツナギ売りで大きな利益を上げる。

 

 「年末年始効果」「5月連休前後効果」という期節周期を利用するのである。108

  「年末年始効果」を利用して12月、1月から買い、

 「5月連休前後効果」を利用して連休前後にツナギを行い、

その後の下げ相場を取ると、このたった一回の上げ下げの往復だけで1年か2年の生活費が稼げる。190

 

  プロたちは比較的大型で商内の多い銘柄を手がける。そうした銘柄は

天井はある期間の往来を見せるから、ゆっくりとドテンできる

底はゆるやか

3〜6ヶ月のうねりがある194

 

 一番天井は鋭角的

 二番天井はゆるやかな往来を見せる

天井前後の揉みは約2ヶ月である196

 

 保合相場の天井は、M型や緩やかな団子天井が多く、いつ天井をつけたかわからないような天井もある。13

 

  安さんの『新日鉄15万株の2年間乗り換え続けたカラ売り』に象徴されるように

「売りはねばれ」ということで、利の乗ったカラ売り玉を維持できれば大きく取ることができる。201

 

☆売りの理論

○買い3年、売り7年

  市場全体が人気化するときは何を買っても儲かる。

 「景気の循環は10年。現物株投資は、上げ三年、休みが7年。」

 現物株投資においては、諸株がいっせいに上がる三年の期間が買って儲かる時期であり、

 後の七年は下げ相場だから、絶対に買ってはいけない時期、

 休む時期なのである。27

 

 「株とは売ることと見つけたり」

  では、下げの七年はどうすれば利益になるか。売る以外にはない。

 諸株が交互に下げて大底に向うのであるから、仕手株、小型株以外はカラ売りをしていれば利益になる。28

 売りこそが蓄財の道なのである。70

 

  バブルの大相場の上げの期間より、現在までの下げの期間が比較にならないほど長いということは、

カラ売り有利の期間が長いということで、株で個人が利益をあげ得る源泉は売りなのである。78

 

ローリング論(日本における株の売り有利の理論)

  優良株は収益安定期の次に衰退期がくるから、プレミアムの付いている割高なときから売り続けていれば大きく儲かることになる。55

 

  株で利益になる人は5%で、うち半分はカラ売りができる人であり、カラ売りがいかに有利かがわかる。72

 

○資本主義社会の仕組み

 資本主義社会では当然のことだが、金利をめぐっての構造は徹底的に借りるほうに不利にできている。62

 

○動産の株で儲けるには保険が必要

  株は動産であるから、買っていれば自然に利益が得られるものではなく、

利益を得るには選別、乗換、保険という最低限の努力が必要である。保険とはツナギ売りのことである。

 

  日本の制度では株主になる有利さは失われているから、株を持ち続けると不利である。

しかし、ツナキ売りを併用すれば、資産をつくることができる。72

 

取引所設立の目的のひとつが、ツナギの場の提供であるから、利益確保と保険のためのツナギ売りの機会と権利は、すべての人が持っている。

 

 株式投資において無知は罪悪で、ツナギについて不勉強な人は株を売買する資格はない。77

 

☆売りの実技

  売りは高値において行う。高値は値動きが荒い。82

 

  天井を売る場合は逆張りの売り上がりが通常の方法であるが、

 値動きが荒いから分割売り上がりの値幅は大きく取らなければならない。

 

 天井をつけに行く場合は、いまにも天井をつけそうな動きをするから玉が多くなりがちだが、大きく張らないほうが得策である。

 

○資金に余裕を持つ

 渡辺幹夫の相場のコツ

 ・自分に有利なゲームに小さく賭けていれば、最終的には勝つのである。

  (ラリー・ウィリアムズ)

・資金が2倍3倍と増えるまで建玉を大きくしないこと。

  儲かり始めると、すぐに掛け金を大きくしてみんな失敗する。

  それが一文無しへの道なのだ。(マーティ・シュワルツ)87

・控えめに そして時間を味方につけろ (渡辺幹夫) 

 

  資金目いっぱい売買することは、破滅に一直線に進むことである。

 資金に余裕を持って相場を張ることが大切。

 神経質な資金管理が必要で精神的負担が大きく、肝心の利益を増加させる作業が疎かになる。22

 

  分割売り上がりの例としては

値幅 100円上がる毎に

率  10%上がる毎に

値動き 大きな陽線毎に があるが、好み、やりやすい方法で

 ためし玉を建てた実感に基いて計画的に行う。92

 

  カラ売りが怖いのは、資金に余裕を持たないやり方をして資金不足による恐怖に陥るからある。

 一発必中で売った後引かされて、仕方なくナンピン売りして、さらにかつがれて資金不足になるケースが多い。98

 

☆ツナギ売りとその難しさ

○コストダウンのツナギ売り

 簿価は買入価格であるが、簿価を下げれば含み資産が生じる。これがコストダウンである。

 アマチュアは繰り返しツナギを行うコストダウンのツナギ売りの有利さを理解できず、理解できたとしても単調な売買を続けることができない。

 

  コストダウンのツナギ売りの典型は簿価をマイナス1200円にした山種の東京海上株のコストダウンである。

  例えば1〜2年上げ続けたところで売りはじめる。

この売りツナギは常に売り上がりである。利益が少なかったり、損切りになることもあるが、ただ単に続けていればよい。

 分割して売り上がってゆくし、売り一方であるから金利負担は少ない。

相場には上げ下げがあるから、値下がりしたときに買い戻す。

これが大口の株所有者のコストダウンのやり方である。

 

○引かされた現物株の損を取り返すツナギ売り

 利益になったツナギ売りだけと現物株を同時に手仕舞いする実行力がなく、区切りのつけ方が理解できない。

  そうしたツナギ売りには株の先物を利用することもできる。

 銘柄も多く株数が多いときなどは、持株の総金額の二倍先物を売ることである。113

 

サヤ取りにおけるツナギ売り

 先物売り−現物買い

 カラ売り−先物買い

 A銘柄−B銘柄 p114

 

  個人で行う225裁定取引は225平均と連動する20〜50銘柄をベーター値が1になるように選定する。

 

 不利な現物株保有

 225平均が8.2%下落

 単純平均が15.1%下落したときに

有価証券含み益は30%減少(98/3)したのは二部や店頭株を含んでいて時価発行に払い込んでいたからである。143

 

☆売りは成功の基

  すべての相場手法において有効・有利なのは売りであり、

 相場で生活しているプロ、資産を築いた成功者は例外なく売り上手なのである。209

  投資の成果は売りによって決まるから、売りを勉強し上達するのが正道である。5

 

 

 

相場戦略研究所 URL http://wedscafe.jounin.jp/